モスフードサービスは15日、今年4月に導入された「特定技能」の在留資格を得たベトナム人を4年間で350人採用する計画を発表した。資格取得に必要な外食の知識や技能を学ぶ教育プログラムを現地の短大と始めており、日本で就業を終えた後は、ベトナムで幹部社員に登用することを視野に入れる。
モスフードは、ベトナム国立のダナン観光短期大学と提携し、10月から「ベトナム カゾク」と名付けた教育プログラムを始めた。短大の学生の中から希望者を募り、日本の外食店で働くうえで必要な知識や技能のほか、自社で働くのに必要な専門用語などを教える。
受講後、特定技能のうち「外食」業種の試験を受けてもらい、合格者は来日して主に「モスバーガー」の国内にある直営店で働いてもらう。給与や家賃補助などの福利厚生は、日本人の正社員と同水準にするという。
モスフードは2020年中にも現地企業と合弁会社を立ち上げ、ベトナムに進出する予定だ。法律が定める上限5年の在留期間が終わって帰国した後は、現地の幹部社員として迎え、ベトナム国内での店舗運営などを担ってもらう考えだ。
15日に記者会見したモスフードサービスの桜田厚会長は「教育面でベトナムを手伝い、ベトナムが成長できればいい」。短大のレ・デュク・チュン校長は「学生が日本の知識や文化を身につけ、日本企業に対応できるようになることを期待している」と語った。
今回の教育プログラムの期間は、短大側が手掛ける日本語教育なども含めて、およそ1年間。初回の20年は50人、その後は毎年100人の採用を目指す。
ただし、計画通りに進むかは未知数だ。特定技能の外食は4月以降、3回の試験を国内で実施し、計1546人が合格した。海外では11月に初めてフィリピンで行うが、ベトナムでの試験実施は決まっていない。
政府が外食で受け入れを見込むのは5年間で最大5万3千人と、介護に次いで多い。だが、出入国在留管理局による在留資格の審査に時間がかかり、外食の業界団体によると、10月上旬までに特定技能に認められたのは23人。ある外食産業の幹部は「何度も書類を出し直し、認められるまでに5カ月かかった」と話す。
ベトナム人の働き手を積極的に採用する国内企業は少なくなく、今後、モスフードと同様の動きが広がる可能性がある。(内山修)
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